バッハ教会音楽の魅力

 人はバッハの音楽に何を求めるのだろうか。

 ルター派プロテスタントの熱心な信者のひとりであるバッハは当然、その立場から音楽を書いた。また当時の社会背景から考えても、宮廷や教会が人々に与える影響は非常に大きかったから、日々の礼拝から年に何度も訪れる大祭日のための音楽は何にも増して重要視された。
 バッハがまず第一に教会音楽家として銘記される理由もここにあるのだが、新バッハ全集ではその過度の傾斜を警戒して、世俗作品の重要性はより増している。我々日本人にとって、新教の厳しい戒律や厳格な教会歴のイメージもあってとかく彼の教会音楽は敬遠する人も多い。大曲「マタイ」「ヨハネ」などから受けるイメージは確かに決して軽いものではない。

 が、しかしやはりバッハは教会音楽を聴くことなしにはありえないのだ。だからここには、彼の教会カンタータの中から特に親しみやすいと思われるコラールを紹介してみた。弦合奏で鳴るこれらのコラールが実際には当時、小学校高学年あたりの年頃である少年合唱で各パートわずか3名という編成で歌われていたことを、念のため言い添えておこう。


BWV151 Choral
BWV155 Choral